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申立費用と負担者

申立費用は申立人が負担しますが、本人(被後見人)の財産で支払えるなら、本人の負担と認められる場合もあります。
東京家裁の場合、非訟事件手続法第28条を根拠として申立手続費用の負担を命ずるようお願いする「上申書」を出します。
申立費用とその負担者を決めるのは「後見開始」の審判の時ですから、鑑定費用額が決まってから審判がなされるまでの間に出す必要があります。
私は後見人候補者調査の後に出しました。

上申書

平成○年○月○日
申立人の住所・氏名+印 
○○家庭裁判所 家事部第○部○係 担当家事審判官 殿

申立人は、平成○年○月○日「平成○○年(家)第○○○○○○号」事件につき後見開始の審判申立をしたが、それにかかる手続費用について、非訟事件手続法第28条により、被後見人本人に下記申立手続費用の負担を命ずるよう、又、裁定の理由を明らかにされるようお願いします。


1申立対象者:本人の氏名・住所
2申立人:氏名・住所
3手続費用:金○○○,○○○円
        内訳:別紙内訳書の通り
4申立の理由


審判書の主文に下記のように記載されました。

3 本件手続費用10万8900円(申立費用600円、郵便切手4300円、鑑定費用10万円、登記印紙代4000円)を本人の負担とする。

■申立費用の実際
申立書に貼る印紙___________600円(現在は800円)
申立登記印紙_____________4000円
予納郵券_________________4300円
予納金(鑑定費用)_________10万円
(ここまでが本人負担と認められた費用です)
--------------------------------------------------------------------------------------------------
[ 本人用 費用 ]
診断書__________________3000円
戸籍謄本__________________450円×2
戸籍附票__________________300円
登記なき証明書____________500円
不動産登記簿____________1000円×○+220円*
--------------------------------------------------------------------------------------------------
[ 申立人・後見人候補者用 費用 ]
住民票____________________200円
戸籍謄本__________________450円×3+240円*
身分証明書________________300円+30円*
改製原戸籍謄本____________750円×3+280円*
登記なき証明書____________500円+160円*
--------------------------------------------------------------------------------------------------
*印:郵便請求の費用(申請書郵送・返信用切手・定額小為替手数料)
--------------------------------------------------------------------------------------------------
その他に封筒・コピー代・電話代・交通費などを加え、全体で約13万円かかりました。結果的に申立人としては2万円ほど負担したことになります。

■提出書類
1)上申書
○手続費用の金額
申立手続費用の内、本人負担と認められる範囲はいくつかの情報から事前にわかってはいましたが、その範囲を具体的に定めたものは「民事訴訟費用等に関する法律と同規則」でしたから、一応それに沿った費用合計を記載しました。

○上申の理由
申立費用の内、予納郵券は「自己流後見もどき」の間に、伯母が書き忘れ、出し忘れた山のような年賀状を切手に変換して申立に備えていました。又、診断書作成料・鑑定料その他の費用も本人の財産から支出していました。「自己流後見もどき」=事務管理の費用として考えていましたので、その旨と事後承諾を得たい旨を上申の理由として記載しました。
後見人候補者調査の際、調査官に尋ねたところ、「筋を通したいのなら、上申書を出した方がいいでしょう」と言われた事も後押しになりました。

2)手続費用の内訳書
「民事訴訟費用等に関する法律と同規則」を基に計上した内訳書と参考のため実際にかかった費用の内訳書も添付しました。
民事訴訟・民事執行の場合は申立書類の提出費用(書留郵便料金)や裁判所が求める戸籍謄本・住民票・登記事項証明書などの交付手数料と受領費用(個々の交付手数料と通常郵便料金80円×2)、申立書の書記料(A4@150円)などについて訴訟費用・執行費用と定められています。
しかし、結果は上記の通り民事訴訟・民事執行などの場合とは少々違いがありました。

審判書が送付される前に調査官が電話で費用負担について説明して下さいました。
・この手続は市町村長の申立を念頭に置いている。
・審判書に記載されていない費用は後見開始後、本人の雑費として処理してよい。
・これで納得していただけますか?
電話を下さったのは上申書に書いた「裁定の理由を明らかにされるようお願いします。」の答えだと思います。

東京家裁後見センターの本には

申立人として手続費用を負担した親族等は、事務管理法理の類推適用により、後見等開始の審判後、成年後見人等に対して有益費の召還を請求し得ると解される。後見センターでは、親族等の申立人に対しては、その旨を説明し、後見等開始審判の際には特に本人に費用負担を命じる裁判をしない扱いが多い。もっとも、本人に費用負担を命じることができないわけではないから、事案によってはその旨の裁判をする方がよい場合もあろう。

とありますが、私が上申を考え実行した頃は、このような説明は家裁から出されていなかったように思います。
当時、市町村長の申立のみを念頭においた手続きであることは知っていましたが、後見人報酬と同じで親族についてはスルーされていた点が釈然としなかったので、上申してみたわけです。

西村武彦弁護士の成年後見通信より

申立をすることがその高齢者のためになるという判断があれば、市町村長は親族に許可を得なくともできます。なお、その際の費用について争いがありますが、高齢者に費用償還できるようです。法律概念としては,そのような費用を支出する場合は事務管理といいます。ですから理論上は民法の事務管理の規定に基づいて費用返還ができます。しかし、東京家裁の見解では非訟事件手続法第28条の手続によって、家裁に対し費用を本人に負担させるという裁判を求めるのだ(支払命令)ということです(措置から契約へ すてっぷブックレット3・101頁以下)

■非訟事件手続法

第26条 裁判前の手続及び裁判の告知の費用は特に其負担者を定めたる場合を除く外事件の申立人の負担とす
但検察官又は法務大臣が申立を為したる場合に於れは国庫の負担とす

第27条 裁判所は前条の費用に付き裁判を為すことを必要を認むるときは其額を確定して事件の裁判と共に之を為すべし

第28条 裁判所は特別の事情あるときは本法の規定に依りて費用を負担すべき者に非ざる関係人に費用の全部又は一部の負担を命ずることを得

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受信: 2005.07.10 12:26

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