申立手続

申立手続で思ったこと

「後見開始の審判」申立手続から審判までについて、私(家族・申立人・後見人候補者)から見ると、一言で言えば「よく見えない」という印象です。
実際にどのような過程を経て審判に至っているのか見えない。
自分が本人(被後見人)だったら「ちょっと恐いな」と思いました。

    ■調査について
    制度利用・必要性の増加で迅速な処理を要求される現実、家裁スタッフや成年後見人が不足している現実。制度の本旨と現実のバランスを取る事は難しいのでしょう。私が対した家裁スタッフは真摯な方々でしたので、個人批判をするつもりはないけれど、私に見える範囲では「こんな事で審判していいの?」という印象は拭えません。
    ・書面主義でありすぎる。もっと現場に足を運んで。
    ・財務調査はどれだけ綿密にしているのか?
    ・審判後の後見監督にしわ寄せが来るのではないか?
    ・リスク管理が制度的に資金の担保が確保されているのか?

  • ○本人調査
    1回だけの本人調査、しかも短時間ではその人のニーズを把握できるとは思えない。機会があったのに本人と後見人候補者の関係を直接観察しなかった。

  • ○親族照会
    伯母の主たる介護者と明記したのに、三姉妹の末妹である私の母に「意向照会」が全くなかった。私と母は同居し、制度利用についても話し合っておりました。でも、もっと客観的に調査すべきではないのか?(母は「無視された」とふくれています)

  • ○自宅
    伯母本人が入所中とあって、伯母の自宅については書面提出のみでした。入所中でも本人の大きな資産でもある自宅を実際に見るべきではないのか?

  • ○調査の対象者
    申立時は入所していましたが、まだ1年未満でした。
    在宅時のケアマネやヘルパーへの事情聴取はあったのだろうか?
    本人の状況・親族関係を知る意味でも有益だと思うが。

  • ○欧米との比較資料
    申立前に調べた中で諸外国の状況を読むと、もっときめ細かく慎重に対処している様子です。
    参考資料:
    世界の成年後見制度
    http://www5.wind.ne.jp/simiz/sisatu/sekai.htm
    ドイツ・スウェーデン成年後見制度視察に参加して
    http://www.shiho-shoshi.or.jp/web/publish/geppou/200501/2005_01_087.html
    日本とドイツの成年後見制度
    http://www.legal-support.or.jp/cios/oshirase00/sippitu/0211geppou.html
    フランスにおける成年後見の実際
    http://www.normanet.ne.jp/%7Eww500002/ressay/essay1.html

■申立手続での本人代理
現状は家裁が本人代理という形で審判に及ぶのでしょうが、私が本人(被後見人)ならば、私の代理として提出書類・調査全体について詳細に吟味する者が独立して居て欲しいと思いました。
佐上善和教授(立命館大学)の「本人は完全に無防備な状態で、自らの行為能力を制限される手続に組み込まれているのである。」という言葉に大いに同意します。この制度が真実、本人の権利擁護を目指すなら、早急に検討すべき事と思います。

成年後見事件の審理手続(佐上)より引用

後見開始の申立てを審理する段階においては、本人は誰によっても正当には代理されていないし、また本人自身が自らの意思を表明することも保障されていないのである。本人は完全に無防備な状態で、自らの行為能力を制限される手続に組み込まれているのである。本人は手続主体ではなく、その客体としての地位しか与えられていない。この手続構造自体が、本人の自己決定や自由意思を奪う仕組みになっていることに気が付かなければならないのである(19)。本人の示す言語上・非言語上の様々なシグナルを手続に反映させ、最大限に尊重するための手続上の工夫を検討する必要があるといえるのである。
審判手続において本人の客観的利益を代弁し、手続に反映させる工夫を必要とさせるといえよう。審理の対象が、申立人やその他の親族等からの意見聴取にとどまるとすれば、本人の客観的状況や利害状況が裁判官に正確に伝わるかについて疑問が残されるからである。むしろ申立人やその他の親族の審問よりは、本人自身の審問を中心に据えることが重要である。そのためには、本人の行為能力にかかわらず手続能力を承認するとともに、実質的に意思を表明できない本人のために手続上の法定代理人たる手続監護人の制度を導入する必要がある。

又、清水司法書士のホームページにも本人申立に関する海外の制度紹介があります。http://www5.wind.ne.jp/simiz/seinen/hitokoto.html

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記録の閲覧・謄写

後見開始の審判が出た後、その確定証明書を交付申請すると同時に、どのような過程で審判が出たのか知りたくて、記録の閲覧と謄写許可申請をしました。
記録の閲覧・謄写は家裁の審判官が許可した時、許可の限度内のみです。

■記録閲覧・謄写許可申請
手数料:150円(印紙を申請書に貼る)
閲覧している間は書記官が立ち会います。
コピーしたい部分は書記官の許可を得て、家裁の謄写室でコピーしてもらいます。1枚につき40円です。

記録閲覧・謄写許可申請(印紙150円を貼る)
申請者の住所・氏名+印
申請年月日

○○家庭裁判所 後見センター 御中

家事審判規則第12条により、下記当事者らの御庁成年後見開始の審判申立事件について、記録の閲覧・謄写を許可されたく申請致します。


事件番号:平成○○年(家)第○○○○○○号
被後見人の氏名・住所
申請者の氏名・住所

申請の理由(注:私の場合)
どのように審判がなされたのか、その過程を申立人/後見人並びに本人の家族として知っておきたい為。

○後見開始等申立人による開示申請 東京家裁後見センターの本より引用

(1)原則として申立人提出書類についてのみ認める。
(2)精神鑑定書及び鑑定関係記録については、通常、開示の必要性は認められない反面、開示により本人や親族等のプライバシーを害し、あるいは鑑定人にいわれのない圧迫が加えられるなどの弊害が生ずるおそれがあるので、原則として開示を認めていない。
(3)調査官の調査報告書については通常申立人からの開示申請はみられないが、申請があっても開示されない。

○後見等候補者・後見人による開示申請 東京家裁後見センターの本より引用

(1)後見等開始・選任審判前は、原則として開示しない。
(2)選任審判後は、次のとおりである。
[1]鑑定書については、その後の身上監護に役立つ面もあるので、閲覧のみを認める。謄写(コピー)については、何らかの原因によりこれが他人に渡ったり、鑑定書をめぐる紛争に鑑定人が巻き込まれるおそれがあるので認めていない。
[2]調査報告書についても、その後の後見事務の遂行に参考になる場合があるので、それを作成した調査官又はその部署の主任調査官の意見を聴いた上で、開示を認めている。ただし、後見監督に関する意見部分は、裁判所内部の事柄なので除かれる。

私は申立人と成年後見人の両方の立場でしたが、閲覧できたものは私が出した書類・鑑定書でした。 鑑定書を読めたのは良かったのですが、家族の心情としては切なかったです。

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審判書ほか

■審判書
審判の告知は本人にも郵送されます。
一応、伯母に説明しましたが「何が何やら」反応でしたので、今は私が保管しています。

■確定証明
審判書受領後2週間経ってから(審判が確定してから)後見センター宛に郵送します。80円切手付き返信用封筒を同封します。
財産目録の追加・変更分と記録の閲覧・謄写の許可申請も一緒に送付しました。

確定証明交付申請書(印紙150円を貼る)
申請者の住所・氏名+印

申請年月日

○○家庭裁判所 後見センター 御中

下記当事者らの御庁成年後見開始の審判申立事件について、平成○年○月○日になされた審判が平成○年○月○日確定したことを証明して下さい


事件番号:平成○○年(家)第○○○○○○号
被後見人の氏名・住所
申請者の氏名・住所

審判書と確定証明で、成年後見人の証明となりますが、審判書には理由(病名など)が書かれているので、金融機関などに提示する場合は後見登記事項証明書の方を使用しています。

■後見登記事項証明書
家裁から成年後見登記通知が成年後見人に郵送された後、法務局に証明申請できます。
1通につき登記印紙1000円が必要です。郵便申請の場合は80円切手付き返信用封筒を同封します。
又、金融機関などに提示する場合、原本還付をお願いします。原本還付が可能なら新たに証明申請しなくて済みます。
住民票・印鑑登録証明・商業登記簿・不動産登記簿など、手続きによって賞味期間が1〜3か月とされていますが、後見登記事項証明書の手続上の賞味期間はどのくらいなのでしょうか?

法務局 成年後見登記制度
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html 
登記事項の証明書の申請書用紙
http://www.moj.go.jp/MINJI/paper01.pdf(Acrobat書類)

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鑑定医と鑑定費用

■鑑定医
私の場合は、本人の主治医に鑑定を希望し実現しました。
家裁も本人の主治医が鑑定医として望ましいと考えているようですし、診断書と同様に、もし主治医が制度について良く知らないようであれば、最高裁_鑑定書作成の手引き.pdf(Acrobat書類)をお読み頂いて依頼されるのが良いかと思います。
中にはその責任の重さから辞退される医師もいらっしゃるようですが、その場合は家裁に決めてもらうか、下記を参考にされたらどうでしょうか。

日本老年精神医学会が認定している医師・施設
専門医の検索
こころと痴呆を診断できる病院&施設

■鑑定医への情報提供
主治医であれば日頃の本人の状況も把握されていると期待できるのですが、できれば家族からも本人の生活暦・家族暦・病歴・本人の状況・介護状況などをまとめた書類をお渡ししておくと、鑑定の参考になります。
上記の鑑定書作成の手引きを読むと、どのような事項が必要かわかります。

■鑑定費用額
鑑定期間は27日間で鑑定料は10万円でした。申立費用のほとんどを占めています。
東京家裁後見センターの本から

鑑定料は、家庭裁判所が一律・強制的に定めることのできる性質のものではないが、後見センターが取り扱う事件については、なるべく1件10万円以下とする方針で運用されているところ、実際の運用結果は10万円に集中している。他の家庭裁判所の管轄地域によっては3万円ないし5万円程度で行なわれているところもあるようであり、申立人及び本人の資産が少ないような事例では配慮を要すると思われる。

私も実際に家裁から医師に鑑定を頼むについて、通常では10万円と書記官から伺いました。
上記の通り実際は家裁と医師の間で打ち合わせで決まるようですが、何故、家裁が鑑定料を定めるよう法律で決めなかったのでしょう?

申立費用の負担者決定や後見人報酬は本人の財務状況を勘案した家裁審判官の裁定を待つのに、鑑定費用額は一応本人の財務状況も考慮しているらしいですが、3万円・5万円・10万円辺りで打ち合わせるって、とても不思議に思います。そもそも審判が下され、審判直後の後見人の財務関係書類が提出される迄、家裁が本人の財務状況を完全に把握しているとは言えません。
鑑定医の方々から鑑定に要する諸々、期間などとそれに対する鑑定料の情報公開をお願いしたいです。宣誓の上で鑑定する医師の報酬として適切な金額であれば、額の多寡が問題だとは思いません。10万円であっても適切な金額より低いのかもしれません。本来の適正額と成年後見制度での額の比較が知りたいと思います。なお、成年後見制度発足以前の 禁治産宣告の時は20〜30万円とありました。

成年後見関係事件の概況〜平成14年4月から平成15年3月〜
最高裁判所事務総局家庭局

○ 鑑定の期間については,1箇月以内のものが最も多く全体の約41%(前年は約39%)を占め,1箇月を超えて2箇月以内のものが全体の約38%(前年は約39%)となっている。
○ 鑑定の費用については,鑑定料が5万円を超えて10万円以下のものが最も多く全体の約60%(前年は約63%)を占め,次いで5万円以下のものが全体の約36%(前年は約30%)となっており,10万円以下で鑑定を行ったものは全体の約96%(前年は約93%)を占めている。
鑑定を実施した成年後見関係事件のうち,約78%の事件の鑑定期間が2箇月以内となっている。また,鑑定の費用は,前年に引き続き低額化の傾向にあり,約96%の事件で10万円以下となったが,特に,5万円以下の割合が増加している。各家庭裁判所における医師等との連携の取組が行われていること,鑑定書作成のガイドラインの利用が進みつつあることにより,鑑定の円滑な運用が図られているということができよう。



後見開始の審判において、常に鑑定が必要とは限りません。
鑑定の要否については色々な問題があるようです。
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申立費用と負担者

申立費用は申立人が負担しますが、本人(被後見人)の財産で支払えるなら、本人の負担と認められる場合もあります。
東京家裁の場合、非訟事件手続法第28条を根拠として申立手続費用の負担を命ずるようお願いする「上申書」を出します。
申立費用とその負担者を決めるのは「後見開始」の審判の時ですから、鑑定費用額が決まってから審判がなされるまでの間に出す必要があります。
私は後見人候補者調査の後に出しました。

上申書

平成○年○月○日
申立人の住所・氏名+印 
○○家庭裁判所 家事部第○部○係 担当家事審判官 殿

申立人は、平成○年○月○日「平成○○年(家)第○○○○○○号」事件につき後見開始の審判申立をしたが、それにかかる手続費用について、非訟事件手続法第28条により、被後見人本人に下記申立手続費用の負担を命ずるよう、又、裁定の理由を明らかにされるようお願いします。


1申立対象者:本人の氏名・住所
2申立人:氏名・住所
3手続費用:金○○○,○○○円
        内訳:別紙内訳書の通り
4申立の理由


審判書の主文に下記のように記載されました。

3 本件手続費用10万8900円(申立費用600円、郵便切手4300円、鑑定費用10万円、登記印紙代4000円)を本人の負担とする。

■申立費用の実際
申立書に貼る印紙___________600円(現在は800円)
申立登記印紙_____________4000円
予納郵券_________________4300円
予納金(鑑定費用)_________10万円
(ここまでが本人負担と認められた費用です)
--------------------------------------------------------------------------------------------------
[ 本人用 費用 ]
診断書__________________3000円
戸籍謄本__________________450円×2
戸籍附票__________________300円
登記なき証明書____________500円
不動産登記簿____________1000円×○+220円*
--------------------------------------------------------------------------------------------------
[ 申立人・後見人候補者用 費用 ]
住民票____________________200円
戸籍謄本__________________450円×3+240円*
身分証明書________________300円+30円*
改製原戸籍謄本____________750円×3+280円*
登記なき証明書____________500円+160円*
--------------------------------------------------------------------------------------------------
*印:郵便請求の費用(申請書郵送・返信用切手・定額小為替手数料)
--------------------------------------------------------------------------------------------------
その他に封筒・コピー代・電話代・交通費などを加え、全体で約13万円かかりました。結果的に申立人としては2万円ほど負担したことになります。

■提出書類
1)上申書
○手続費用の金額
申立手続費用の内、本人負担と認められる範囲はいくつかの情報から事前にわかってはいましたが、その範囲を具体的に定めたものは「民事訴訟費用等に関する法律と同規則」でしたから、一応それに沿った費用合計を記載しました。

○上申の理由
申立費用の内、予納郵券は「自己流後見もどき」の間に、伯母が書き忘れ、出し忘れた山のような年賀状を切手に変換して申立に備えていました。又、診断書作成料・鑑定料その他の費用も本人の財産から支出していました。「自己流後見もどき」=事務管理の費用として考えていましたので、その旨と事後承諾を得たい旨を上申の理由として記載しました。
後見人候補者調査の際、調査官に尋ねたところ、「筋を通したいのなら、上申書を出した方がいいでしょう」と言われた事も後押しになりました。

2)手続費用の内訳書
「民事訴訟費用等に関する法律と同規則」を基に計上した内訳書と参考のため実際にかかった費用の内訳書も添付しました。
民事訴訟・民事執行の場合は申立書類の提出費用(書留郵便料金)や裁判所が求める戸籍謄本・住民票・登記事項証明書などの交付手数料と受領費用(個々の交付手数料と通常郵便料金80円×2)、申立書の書記料(A4@150円)などについて訴訟費用・執行費用と定められています。
しかし、結果は上記の通り民事訴訟・民事執行などの場合とは少々違いがありました。

審判書が送付される前に調査官が電話で費用負担について説明して下さいました。
・この手続は市町村長の申立を念頭に置いている。
・審判書に記載されていない費用は後見開始後、本人の雑費として処理してよい。
・これで納得していただけますか?
電話を下さったのは上申書に書いた「裁定の理由を明らかにされるようお願いします。」の答えだと思います。

東京家裁後見センターの本には

申立人として手続費用を負担した親族等は、事務管理法理の類推適用により、後見等開始の審判後、成年後見人等に対して有益費の召還を請求し得ると解される。後見センターでは、親族等の申立人に対しては、その旨を説明し、後見等開始審判の際には特に本人に費用負担を命じる裁判をしない扱いが多い。もっとも、本人に費用負担を命じることができないわけではないから、事案によってはその旨の裁判をする方がよい場合もあろう。

とありますが、私が上申を考え実行した頃は、このような説明は家裁から出されていなかったように思います。
当時、市町村長の申立のみを念頭においた手続きであることは知っていましたが、後見人報酬と同じで親族についてはスルーされていた点が釈然としなかったので、上申してみたわけです。

西村武彦弁護士の成年後見通信より

申立をすることがその高齢者のためになるという判断があれば、市町村長は親族に許可を得なくともできます。なお、その際の費用について争いがありますが、高齢者に費用償還できるようです。法律概念としては,そのような費用を支出する場合は事務管理といいます。ですから理論上は民法の事務管理の規定に基づいて費用返還ができます。しかし、東京家裁の見解では非訟事件手続法第28条の手続によって、家裁に対し費用を本人に負担させるという裁判を求めるのだ(支払命令)ということです(措置から契約へ すてっぷブックレット3・101頁以下)

■非訟事件手続法

第26条 裁判前の手続及び裁判の告知の費用は特に其負担者を定めたる場合を除く外事件の申立人の負担とす
但検察官又は法務大臣が申立を為したる場合に於れは国庫の負担とす

第27条 裁判所は前条の費用に付き裁判を為すことを必要を認むるときは其額を確定して事件の裁判と共に之を為すべし

第28条 裁判所は特別の事情あるときは本法の規定に依りて費用を負担すべき者に非ざる関係人に費用の全部又は一部の負担を命ずることを得

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申立手続ー3(2)本人調査

平成15年5月 入所施設で本人調査。
私が立ち会うべきか迷いました。調査官は私の付き添いを希望していました。伯母と私の関係を間近に見たかったのかもしれません。調査官と病棟師長と私の三者で相談し、師長と私が「私の立ち会いなし」と一致したため、最初だけ師長が付き添う形で行なわれました。
およそ20分の後、ホールで待つ私と師長に調査官は面談時の状況を詳しく話して下さいました。

その後すぐ伯母に会ってお茶を飲んだ時、ハンドバックから「これ何だろう?」と調査官の名刺を見せてくれました。が、既に伯母の記憶から面談そのものが抜け落ちておりました。「家庭裁判所に私を監督してもらう手続き」とヘタクソな制度の説明をしてみましたが、「何が何やら」という表情だけが返ってきました。(その後も時々、説明を試みましたが、同じ反応でした・・・。)

事前に説明すべきだったかもしれません。私が同席していればもう少しインパクトがあったかもしれません。この日だけは「やらないよりやってみた方がいい」という私のポリシーに反してしまい、今も後悔しています。本人にとって意味があるのか無いのか、誰にも判断できないのがアルツハイマー病の厄介なところです。少なくとも病名告知よりは本人を傷つけない説明ができた筈なので、事前説明や同席はするべきだったのかもしれません。

私が事前説明・同席をしなかった理由
・伯母にどのように説明すれば良いのか、わからなかった。
・私がいることで、伯母が調査官の言葉に集中できないのではと恐れた。
・私に依頼心を起こし、伯母が自分の意思を調査官に伝えようとしないのではと恐れた。
・私は後見人候補者という当事者なので、客観的に見てもらうにはいない方がいいのではないかと思った。
・自分が申立人・後見人候補者の癖に、調査官と伯母の「本人調査」の場という現実に向き合いたくなかった。(悲しく辛い)
・本人の権利の多くを奪う制度の手続きの場で、伯母に相対する気持ちになれなかった。(後ろめたさ)

と言いながら、本人との面談後、調査官は私を呼び寄せて伯母との関係を確認すべきだったとも思いました。


伯母の入所施設は制度を良く知っていたので、調査へのスタッフの対応に不安はありませんでした。『成年後見制度の理解』は入所施設の選択条件の重要項目です。
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申立手続ー3(1)後見人候補者調査

平成15年4月 申立人・後見人候補者調査=私に対する事情聴取について。
想像していた内容とは違いました。ほぼ2時間の面談の半分以上を費やして、調査官は私が持つ制度への疑問に真摯に応じて下さいました。相談や講演を経験した中で一番有意義な時間でした。本人調査についても、伯母にどう接するか具体的に説明して下さり、安心できました。制度に対する私の不信感が払拭されたわけではありませんが、家裁と共に対処していく気持ちになったのは、この調査官の存在が大きいです。

■調査官と電話で
申立から2週間後に「事情聴取の日程を相談したい」という家裁の担当調査官から郵便が届き、こちらから電話をかけました。
調査官から申立手続書類に問題がないこと、後見候補者の適性をクリアしていることを告げられました。又「既に後見人の仕事をしている」と、これまでの「自己流後見もどき」を認めてもらえたことは、私にとって非常に意味のあるものでした。
私の調査を本人調査と同じ日・場所ではどうか?と問われましたが、私は本人調査の前に家裁ですることを希望しました。
[注:平成15年当時の東京家裁は現在の「申立日即日事情聴取」というシステムではありません。申立日は家裁に行って書類を提出し、申立受付票をもらっただけでした。]

■調査の準備
調査日に資料の追加は不要とのことでしたが、今までの苦労を家裁に知らさずしてなるかと、「自己流後見もどき」3年分の領収証や書類と伯母の最新写真アルバムまで揃えました。
頭から財産狙いではないかという疑いを持たれ、不愉快な想いをされた家族の調査体験談を伺った事がありました。制度発足の間もない頃のお話でしたが、調査官によってはあり得る事と考えていました。
私の場合、電話での調査官は真面目な感じで、高圧的でも疑ってかかるような口調でもなかったのでホッとしました。(当初は調査日に録音の用意もしようと考えていましたが、止めました。)

■申立人・後見人候補者調査(家裁にて)
○「申立時の書類で明らかなので、後見人候補者の適正チェックはしない」と言いながら、書類内容の再確認。
・家族(親族)関係について
・後見計画=入所施設・本人の母親の遺産相続・本人の不動産売却などについて
・鑑定医について

○何故、私が「自己流後見もどき」をするようになったのか?後見人候補者に志願したのか?
伯母・姪という関係ですから、調査官が一番尋ねたかった事かもしれません。私も「何故こんな羽目になったのか?」と3年間自問してきました。それなりの理由を話しましたが、実は今でも「何故なのか、こっちが訊きたい!」というのが正直なところです。

○本人調査の際、本人にどのように接するかの実演
実際に伯母にどのような言葉使いで、どのように話すか、実演して下さいました。私からも伯母への接し方のヒントを提供。ついでに伯母や入所施設の写真をお見せしました。(私が一番不安だったのは調査官の伯母への対応でしたが、この時の実演で安心できました。)

○平成15年4月から発足した後見監督センターの説明
Q:申立手続の調査官は審判後も引き続き担当するのか?
A:担当しない。平成15年4月から後見センターで審判後のアフターケアをする。純粋に法律的な検討・財務管理等は後見センターが行なう。

■成年後見制度について意見交換の一部(Q:私/A:調査官)
○アルツハイマーによる記憶障害・見当識障害と本人の意思能力の判定基準
Q:記憶障害により忘れてしまう事があるが、伯母の場合、その時は論理的判断ができる可能性がある。本人の意思能力をどのように判定するのか?財産管理能力が無いと、どのように判断するのか?
A:1回の本人審問で判断できるとは思えない。最低1ヶ月、少なくとも1週間は本人の元へ通って話さなければわからないと思うが、申立件数の増加で人が不足している現在の体制下では不可能。
結局、正否はともかく、本人が自身の損得の判断ができないという点が判断の基になるとも考えられる。

○誰の為の申立か?
Q:身上配慮より財務管理ばかりを重要視するのはおかしい。今の調査方法で本人の権利擁護の状態を十分に把握できるのか?
A:現状では銀行など本人の取り引きの相手方の保護に傾倒している感がある。
家族が銀行で手続きを拒否されたり不動産に絡んだ事などで、あわてて申し立てるケースが多い。
銀行等の圧力によるところもあり、最高裁は財務管理主体の考えに傾きつつある。

○申立費用負担についての不合理性
Q:申立人の大半が仕方なくという形なのに申立人に負担させるのは不合理ではないか?申立費用として例えば出頭する際の交通費などは認められないのか?
A:申立費用負担についての筋を通すには上申書を出した方が良い。審判官の裁定を求めることとなる。
(→別記事 『申立費用と負担者』

○複数後見について
Q:私と第三者(専門家)との複数後見の方が良いだろうか?
A:司法書士等に支払うお金の分は伯母さんの為に使われた方がより有効と思う。

○申立手続での本人権利擁護
Q:申立手続きにおいても本人の代理人が必要ではないか?(→別記事『申立手続の本人代理』)
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申立手続ー2(2)作成書類

必要書類のうち、記入作成する書類・資料などについて。
申立時期や管轄の家裁によって違いがあります。下記■の名称は現在の東京家裁に倣っています。平成15年に私が実際に提出した書類は○付きの書類です。

■申立書=家裁書式(一部加工してパソコン入力。)
申立の実情の欄に申立の目的を記載。
又、希望する鑑定医の指定と申立人自身が後見人候補者であることも記載。

■申立事情説明書・親族関係図
○申立書附票=家裁書式
当時の書式は3ページだけの簡単なものでしたので、別紙参照として「意見書」を作成しました。
○意見書(申立書附票の別紙。申立の事情の詳細)=自作書式
本人の親族関係図・医療と介護関係者
本人の履歴・嗜好・病歴・状態の経過
本人の現況
本人の財産状況・私がしてきた事務・財産管理その他の内容説明

■後見人候補者事情説明書
○身上書(履歴・資産・家族構成など)=札幌家裁の書式
○財産管理記録=自作書式
「自己流後見もどき」平成12年から3年分の現金出納簿・銀行口座管理記録
○年間予算・後見計画書=自作書式
「後見もどき」で元々組んでいた年間予算・財務管理計画・将来設計

■収入状況報告書とその資料
○財務収支表(月間の収入支出の内訳表)
○入所施設費用支払帳簿
=2つとも「後見もどき」の間に必要で作成していた自作書式のまま

■財産目録 とその資料
○金融資産表
=「後見もどき」の間に必要で作成していた自作書式のまま
○年金証書と預貯金証書のコピー
○不動産登記簿(取り寄せ)

●他に提出した本人に関する書類
介護保険被保険者証のコピー
介護保険施設入所申込書と契約書のコピー
介護記録(入所施設の師長に作成をお願いした)

●その他
提出資料の一覧表を付けました。
「後見もどき」3年分の領収書なども全部提出しようかと思いましたが、多すぎるので後見人候補者調査の時に持参しました。

■必要な印紙・切手など
収入印紙=申立手数料    800円分(申立書に貼る)
登記印紙=登記手数料   4000円分(申立時に納付)
 (法務局とその出張所・中央郵便局で売っている)
郵便切手=連絡などの為  4300円分(申立時に納付)
 (東京家裁の場合=500円×5枚・80円×20枚・10円×20枚)
予納金=鑑定費用として   10万円*
 (後日 銀行振込。現在、東京家裁の場合は申立当日に現金支払)
 (*鑑定費用額は10万円と決まっているわけではありません)
納付した郵便切手や予納金は余れば後日、返還されます。

登記印紙は下記にも必要です。
・後見登記されていないことの証明書=500円×2枚 (本人・後見人候補者)
・不動産登記簿=1000円×不動産の数分

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申立手続ー2(4)診断書

伯母の主治医は成年後見制度や権利擁護についての知識が深い方でしたので、制度利用の相談や診断書作成・鑑定について、安心して依頼できました。
本人に主治医がいれば、その方に依頼するのが一番良いと思います。
本人と信頼関係にあるだけでなく、成年後見制度についてもご存知ならば理想的です。もし主治医が制度について良く知らないようであれば、下記の「診断書作成の手引」を読んでいただくのも手かと思います。
精神科だけでなく、内科や老人科・脳神経内科などの医師が制度理解を深めて下さるようお願いします。

最高裁の診断書作成の手引.pdf(Acrobat書類)より
■診断書作成の医師は資格等による限定はない。

成年後見のための診断書を作成する医師にも資格等による限定はありませんが,この診断書は,本人の精神の状況について医学的見地から判断をするものですから,精神神経疾患に関連する診療科を標榜する医師又は主治医等で本人の精神の状況に通じている医師によって作成されるものと考えられます。

■後見・保佐の場合は後日鑑定が予定されるので、通常の診断書であってもよい。

後見及び保佐の手続の場合には,診断書はいわば審理の手掛かりの役目を果たすにとどまるもので,植物状態など明らかに鑑定を必要としない場合を除き,原則として更に鑑定が必要となるため,診断書記載内容は必ずしもこの診断書記載のガイドラインによらず従来から行われているような簡易なものでも足りると思われます。

■診断書を書いてもらえない場合
「利用者のためのケーススタディ成年後見」 45Pより
(司法書士 岩澤勇著 自由国民社 2002)

本人の判断能力の程度をうかがわせる福祉関係者の介護記録等でもよいとするのが、家庭裁判所の見解です。

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申立手続ー2(3)取り寄せ書類

必要書類のうち、役所・法務局などから取り寄せる書類について

■本人用
1戸籍謄本・戸籍附票            >本籍地の役所(*1)
  (現在、東京家裁では戸籍附票ではなく住民票が必要)
2後見登記がされていないことの証明書    >法務局(*1)
3診断書(主治医に依頼)   注: 申立手続ー2(4)診断書

■申立人・後見人候補者用
1戸籍謄本                 >本籍地の役所
1a(注:*1)私の祖父の改製原戸籍謄本   >本籍地の役所       
2身分証明書(破産宣告を受けてない旨の証明書)>本籍地の役所
3住民票                  >住居地の役所
4後見登記がされていないことの証明書    >法務局

■郵便で請求した方が、労力が少なくて済みます。
宛名書きした返信用封筒(長3)と切手を数セット用意します。
・80円切手の他に10・50円切手を数枚余分に同封します。
・余分の切手は書類と一緒に返してくれます。
戸籍謄本などの手数料は定額小為替で送ります。
郵便での交付請求は1週間から10日かかるので、なるべく早めに。
法務局の「後見登記がないことの証明書」の手数料は登記印紙500円です。

交付請求申請書や手数料について、ネット上で公開している役所が多いようです。
但し、夫婦・親子関係ではない場合の本人用の書類申請について、
下記(*1)の通り、あらかじめ役所や法務局に電話で制度利用の旨を説明し、交付請求に必要な書類や手数料を確認しておく方が安全です。
法務局(成年後見登記制度)の情報はこちらです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

■(*1)本人と申立人(後見人候補者)が「別世帯の伯母・姪関係」である場合(別世帯の姉妹兄弟も多分)
家裁に申立をする為には、伯母・姪関係であることを証明する書類が必要です。(私の場合、私の母の結婚前の記録=母方の祖父の戸籍謄本を取り寄せました。)
又、申立には本人の戸籍謄本・戸籍附票と「後見登記がないことの証明書」が必要ですが、
・役所で本人の戸籍謄本・戸籍附票を『姪』が交付請求するには、
 家裁の申立受付票が必要。
・法務局で本人の「後見登記がないことの証明書」を『姪』が交付請求するには、
 本人の戸籍謄本が必要。
という訳で、下記のような過程を踏みました。

家裁に申立をし、申立受付票をもらいます。
申立書には下記のように記載しました。

本人の戸籍謄本・戸籍附票・後見登記がないことの証明書は
本申立の御庁受理証明を受領後、○○役所・○○法務局に交付請求する。

それから役所へ行き、家裁の申立受付票を提示して、
本人の戸籍謄本・戸籍附票を交付請求。
次に法務局で本人の「後見登記がないことの証明書」を交付請求。
1日の間に家裁(申立)〜役所〜法務局と梯子するスケジュールを組み、翌日、本人の戸籍謄本・戸籍附票と「後見登記がないことの証明書」を家裁に郵送しました。

戸籍謄本の取り方についてはそれぞれの親族関係・婚姻関係で違います。
自分の戸籍謄本の内容からどう関係をたどったらよいか考え、役所の戸籍係にどのような関係を証明したいのか説明して、どこの役所の誰の戸籍謄本を取るのか相談すると良いです。(私は役所の戸籍係の方に30分も講釈してもらい、祖母の遺産相続手続きの際の知識も得る事ができました。)

家裁の方が役所での手続についての全てを知っているわけではありません。
申立受付票は必ずもらって下さい。

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